機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

2期ですけど。なんとなく見続けているうちにこれはやっぱりきちんと見るべきだったなと思って最初から見直しています。激ヤバである。

こんなに生臭いガンダムは見たことがない(そんなにガンダムも見たことないけど)。「ガンダム」を冠する物語の定義が見事に揺らぎました。

わたしのなかには、東部/西部みたいな認識の仕方がある。これは別に名付けていなくて、ほんとうにクオリアのまま感覚としての分類があるだけなんだけど、説明するために形づけるとすれば、例えば水族館/動物園とか、水色/茶色という感じ、テクノ/アコースティックみたいな、トゥモローランド/ウエスタンランドとかね、わかりますか、この点で良い融合をしたのが多分スターウォーズとか宮沢賢治とかガンダム00とか。これらは東部的なものと西部的なものがいいブレンドで共在している。キルラキル、No.6も近いと思う。グレンラガンもいいがちょっと西部寄りかな、という塩梅。
これでいうと、鉄血のオルフェンズは極めて西部的である。鉄華団においてはもう宇宙戦争的な無機質なネオン的な艶っぽさとかメタリックな感じは無く、むしろマッドマックスですよね、舞い上がる砂埃のなかで泥臭く戦う。きわめてフィクションらしくない、軍隊、革命、戦争、という色がある。
例えば「未来の戦争」と聞いて、わたしたちは何を想像するか。いまから10秒数えて、爆撃が起きます。そしたら戦争はSFのように行われるか?それはノーだと思う。戦争はほとんどむかしのように、渇いた地面に這いつくばって、人が、人を、銃で、爆弾で、土の中、空の上、血を流すものに変わりはないと思う。

鉄血のオルフェンズ、匂いのするアニメだ。茫漠たる火星の大地。荒野に生まれた孤児たち。そこで農業を営んだりする。企業を立ち上げたり、資本主義の走りみたいな感じもするし、字が読めない人間もいたり、なんていうかきわめてプリミティヴな感じ。音楽も異国情緒あるし、ちょっと目も耳も離せない。

あと、三日月がよく何かを食っているけど、これがわたくしのなかではこのアニメは見るべきと思った決定打すぎる。フィクションではよく「寝る」とか「食う」とかが省略されてしまう(マッドマックスでは命を繫ぎ止めるものとして水ばっか出てきて誰もごはん食べてなかった気がする)。たしかに、そりゃみんなカッコよくてアツいバトルを見たいに決まってるんだけど、痛快なだけではその一時の刺激でぜんぶ終わってしまう。やっぱり生活が描かれているものが、複雑に入り組んだ心持ちが描かれているものが、ひとの胸を穏やかにしたたかに打ち続けるのだと思う。だって三日月が、戦闘中に基地に帰ってきて言うんですよ、「腹減った」って。そしてむんずと掴んで食ってまた出て行く。そんなのアリかよと思いますよね、あのガンダムですよ、あのスタイリッシュにクールでなくてはならないような「ガンダム」なのに、完全に生きる業みたいなものがそこに駐在している。だってパイロットスーツ着ないんですよ、上半身裸で乗るんですよ、まだぜんぜん話数進んでない時点で書いてますけど、空に出たらあのピッタピタ宇宙服着るのかもしれないですけど、直接痛みを伴う処置で何かのシステム(”阿頼耶識システム:パイロットの脊髄にナノマシンを用いた外科手術によって金属端子と埋め込み、操縦席側の端子と接続させることでパイロットの神経と機体を直結させ、ナノマシンによって高められた空間認識能力と合わせることで、脳内のみで外部情報の処理を可能にし、高い操縦性能を引き出すシステム”とのこと)を身体に植え込んで、直にMSに乗るっていうのが、もうなんていうか、生々しい。キャラクターなのに、2次元なのに、汗は舐めたら塩辛いというのがわかるっていう感じがする。こんなに生きているアニメはないよ、ほんとうに。

はい、我慢できなくて1期3話くらいまで見たところでの感想書いた。引き続き放送に追いつくまで見たいと思います。マジでカッコよすぎるぞオルフェンズ。