なんとなく最近どこでも見かけるなあと思い録画してみた『ニンジャスレイヤー』7話。
スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ。
もうほんとに現時点で何の知識もないけど、ただこの回だけ見て、うわーなにこのアニメすごい、となって10回くらい見た。好きとかいうよりもなんか「絶景を見た」的な感動に近い。
しかしこれを語るにあたって、なんか専門用語的なものがたくさんあるらしいし?これしか見てなくても独特なのは分かるし、実際この回しか見てないから、いまも主人公誰?状態にあるしいろいろ調べたら設定とかなんかもういろいろわからん、でもこの衝撃を言いたすぎて書く以下なので、きれいな画像欲しさに無料サイトの変な字幕入ってるけど、時系列ばらばらだけど、支離滅裂な文章だけど、なにもかも違うかもしれないけど、堪忍してほしい とにかくいまからグッときたとこの羅列をします
初っ端からやられた。
この都市を見てよ、最高。ネオ闇市めいた猥雑で混沌とした街並み。トリガーは街をきちんと描くよなあ…知らんけど
そしてこの回の主人公(って言っていいのかな)カギ・タナカ。シルバーカラス。
既にかっこいい。CV藤原啓治。
これが人を撃ったあとに言うんですよ
「南無阿弥陀仏」
カッコよすぎる…
あとこれはこいつに限らず言うらしいんですけど敵を倒すってときに「俳句を詠め」って吐き棄てるんですよね かっこいい なんなんだ一体
ヤモト・コキという少女とコインランドリーで出会う場面
いやコインランドリー最高かよ
というかカギ・タナカ、コインランドリーとか行くの?????生活感すごいね?????
とは思いつつ、人を殺す奴も洗濯するんだよな…という気持ちになった
乾燥が終わるまでの間、本に目をやっているヤモトを、カギが凝然と見つめる、というか見据える、というか見ている画の応酬が何秒かあって、そこでは2人の間になんの言葉もなくて、後ろで昼間のテレビ番組の音声がノイズとして鳴っていて、なんかもうこれは、文学じゃんと思った
「少し明るい海」
安くて美味くなさそうな煙草を愛飲しておられ、もうこんなのはさあ、煙草というか、哀愁自体を吸ってるのでは
彼はビョーキ持ちらしく長くないとのこと
why何故おっさんこんなときに得体の知れない少女と出会ってしまう
溜息しかない
非日常すぎる世界線に生きてる人間もやるんだよいろいろと たまには
彼はイアイ道というのを極めてるらしい 剣を使うが空手が身体に馴染んでないといけないらしい
香港のカンフー映画とかいいですよねって気分
カギが技を教えるときに恐る恐るやってみるヤモトに対して「多分」それでいい、と言っててああこれはほんとに感覚のところで馴染ますものなんだと思うと同時に、少女に教えるぎこちなさというか遠慮みたいなものが見えて、良い〜…
少女にビョーキと戦闘がばれる
カギ喀血した
(わたしも心で喀血した)
この、安いアパートの一室、そこにある生活。出会っちゃった少女と暮らしちゃってんじゃねーよ!一緒に居ればやっぱりどうしても人間だから情が湧く。そしたらカギもヤモトもつらい、けど互いに行く当てもない、追い出す理由もない、だからどうしようもない。胸が痛い
ここでBパートへ、いろいろあって闘わなきゃいけなくなるんだけど刀を重ねながらカギが言うんですよね
「ああ、そうだ。煙草無いか?『少し明るい海』。無いよな。あるなら頂こうと思ってな。お前の死体を漁って」
さいごにはヤモトとシルバーカラスが刀を合わせることになってしまう
カギの命が尽きるのが先か、戦闘が終わるのが先かという状態
しかしカギはヤモトの気持ちがわかるし自分の終わりもわかっているわけで
必死に決死で立ち向かってくるヤモト、でもカギに勝てない、そしたら時間が来てしまってさあ
「結局、煙草が吸えねえままになったか。因果応報だな。悔いはまあ、それぐらいだ。お前のおかげだ。黙って地獄に行くさ」
なんてかっこいい。
なんてクールジャパン。
このニンジャスレイヤーというアニメ、アニメなのはもう疑いなくアニメなんだけど、ゲーム?特撮?アメコミ?いや文学?
ほんとにすごい。
スタイリッシュにも程があるというのに、生理的な部分に押し寄せる感覚がある。
カギ・タナカは死んでしまった。
だから彼の生きている世界線が見たいとめちゃくちゃ思う。というか、非日常に生きる人々の日常、そこでの生活っていうのが好きでたまらない。この回には生活に繋がる記号がたびたび出てくる。煙草。セックス。コインランドリー。アパートの一室。
なんというか、邦画に出てくる夏みたいな、東南アジアの蒸し暑さみたいな、そういう肌感覚。とにかく鋭く冷淡にアツい。なんだこれは。
そしてこのアニメは物語がいい、しかし何よりその文体がいい。
あらすじをどんだけ読み込んでもこのアニメのよさはわからんと思う。夏目漱石かよ。草枕なのかよ。
いいアニメって眺める感覚で見てしまう。どんだけご都合主義でもよくて、とにかく容赦なく目の前を流れていくのに身を任せる。きちんと言葉を聴くものではない、ぼーっと15分とか30分の間に、ときどき訪れる一瞬の光景にハッとしたり、眺めた景色そのぜんぶで、後味がじわじわ湧いてくる。ここがすごいとかここがかっこいいとかではちっとも面白さは伝わらない。すべてを通して見ることでしか生まれてこない感覚がある。
あと、これは個人的にグッときたところ(ほとんどぜんぶグッときてるけど)なんですけど ヤモトは強いけどまだよわいこどもで、女の子だから、よく泣いてしまうのだけど、そのときカギがボソッと咎める
「涙ぐむな」
「ああ、涙を拭け」
「馬鹿め。何故泣く」
そのたびにわたくしはこの言葉を頭のなかで反響させて自戒することになる。
生活がつらいという理由でアニメを見るのをやめたいです